森を歩いていると異様に鮮やかな黄色の物体を見かけることがある。
黄色いナメクジ、バナナ・スラッグだ。
体長は10センチ前後で日本で一般に見られるナメクジよりも大きい。他のナメクジ同様、触ればネバっとするが至って無害。色は黄色だけではなく、茶色や緑っぽい色、黄色と黒のまだらなどバリエーションがある。
結構派手な黄色のものが特に目につくのだろう。
繁殖地域はアラスカ南部からカリフォルニア州サンタクルーズ辺りの北アメリカ太平洋沿岸の森で、南カリフォルニアでは標高が高い山の森にいるそうだ。比較的寒い環境の生き物のようだ。
このナメクジは森のエコシステムに貢献していて、枯れ葉や倒木、苔、キノコを食し、高い濃度の窒素を含む排泄物はそのまま植物の効率的な肥料となる。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校はこのナメクジを正式なマスコットとしている。当時の学生が投票で決めたらしい。これがそのマーク:
この大学にはフットボール、バスケットボールなどの主要スポーツチームが無く、主に物理学、数学、コンピューター工学、天文学など理系学部の優秀さで知られているため、通常見られる勇猛キャラのマスコットとはあまり縁が無いのがこの大学とマッチしている理由の一つだろう。
しかも読んでる本は「プラトー」だし。
大学のオフィシャルT-シャツにはこのメガネをかけたバナナ・スラッグ君がタイダイシャツを着て座禅を組んで瞑想しているものがある。これも非常にユニーク。実はそのシャツを2枚持っていたりする。
清い川にはホタルや山椒魚が居て、ホタルや山椒魚が居る川は清流であるのと同じく、健全な森にはバナナ・スラッグが居て、バナナ・スラッグが居る森は健全な森…ということだ。
ハイキングしている時、鮮やかなバナナ色で目に飛び込んでくるナメクジ。それを見ると気持ち悪いという印象は全く無くて、むしろニンマリしてしまう。
2020年1月 カリフォルニア州ビッグ・ベイスン州立公園
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