小さな写真部屋

写真・カメラとのお付き合い

自分に合う仕事を長く続ける

今回は写真やカメラのお話ではなく、自分の生活や趣味を支える仕事について書きたいと思います。

(たまにこんな事もつぶやきますが、よろしくお付き合い下さい。)

職業はソフトのQA(クオリティーアシュアランス=品質管理)エンジニアをやっています。コンピューター工学科専攻で大学卒業後、ソフト開発エンジニアをやっていましたが、あるきっかけで開発ではなく、開発されたものの動作を検証する側に仕事を変えました。

正直言って開発エンジニアはストレスが溜まる仕事でした。意識のどこかで自分は優秀な開発エンジニアではないことを知っていたからでしょう。ユーザーさんたちへ向けてリリースする前にソフトをテストして、バグを見つけ、バグ修正を確認する。その方が能力的にも性格的にも向いてると思います。

開発エンジニア期の経験があると、開発・テスト両方のものの見方や相互間のコミュニケーションの効率的な方法なども見えてくるので、その点で上司に信頼されたりもします。

テストエンジニアの報酬は常に開発エンジニアのそれ以下です。品質管理課のマネージャーにでもなれば追いつけるでしょうか。それでも向いていない仕事を劣等感を感じつつストレスを溜め続けるよりはずっと気が楽。そこで線を引いてしまって自分の領域を確立し、周囲にもそれを認めてもらえば、日常の生活を楽しむ心のゆとりも出来ます。

そういう生活は時には忙しい時期があっても持続性があり、自然にキャリアも長続きする、そう考えています。

つい先日気づいたのですが、IT業界で開発エンジニアがテスト側に転職するケースが増えているようです。このトレンドの原因や理由は知りませんが、想像するにその中にはより高い報酬や肩書きよりも自分に向いた仕事を選んでいる人、年齢的な理由で転職する人などもけっこういるんじゃないかと。

数年の経験を積むと「小さなチームをまとめてみないか?」と管理職へ昇格の打診を受けるようになりました。それも苦手です。一度管理職になったことがありますが、部下を持つと年棒やボーナスなどインセンティブは跳ね上がります。しかしそれも自分には向いていないと認識した後、そのような打診を受けた時はいつも「オレから100%引き出したかったら部下は居ない方が良いよ」と丁重に感謝した上でお断りしてきました。

リタイアを意識するようになったこの歳になっても部下は一人も居ません。人間関係のストレスもないし、人をまとめたり予算や経費の計算をしなくてもいいし、部下をリストラしたりすること(経験あり)もないわけです。

師匠が居ない職人さんのような感じですね。

ここ数年、何人かの上司の下で働いてきましたが、彼らはすでに自分よりはるかに年下の働き盛り。そんな上司とのつながりを考えてみると、昇格はしないけれど、長年の業界・職場経験に基づいて若い上司に助言したりしていて、その点で重宝されているんじゃないかと勝手に考えています。

ラッキーなのは以下の点ではないだろうか:

  • 住んでいる社会や企業や周囲の人の考え方が、従わなければならない伝統や習慣や形式などにとらわれない環境である
  • 自分の理由と希望を明確に伝えればそれを尊重してその後もその件を引きずらない考え方が社会や企業や周囲の人に浸透している
  • 年齢、性別、人種、宗教、政治観、趣味趣向、独身・既婚・離婚、配偶者や子供の有無、性的指向(ストレート・ゲイ・レズビアントランスセクシュアルなど)、服装、生活パターン、外見などによる差別が禁止されている(それに反すると弾劾する側がハラスメントの加害者として即刻クビ)職場環境である
  • 休暇は自主的に自分の望む通りに誰にも問題なく楽しむものだという理解がごく一般である
  • 歳を重ねるにつれ、年上だからと自分の意思に反して昇格されたり、部下から小突き上げられたり、皮肉が混じった年寄り扱いされたりする職場環境ではない
  • 自分のキャリアは社内においても自ら決めることが出来、それぞれの道に成長の機会があること

性格上、このような環境が無ければ今頃どうなっていたんだろう?それを想像するだけでも恐ろしい気がします。事実、日本では性格と周囲の環境、特に職場環境が合わないことで大変苦労されておられる方々が非常に多いようです。

おかげで長年淡々と仕事をこなしながら楽しい個人生活を送っています。もっとも、何も問題が無い生活とは違います。人生、誰にでも例外なくいろいろあります。念のため。

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