しばらく前に「Totally Wired」という動画を見ました。ベルリンにあるシンセサイザーや電子音楽に使われる機材を売るお店、Schneider's Buero(シュナイダーズ・ビューロー)についてのドキュメンタリー映画(2009年)です。
パソコンで音楽制作ソフトを使って作曲、アレンジ、レコーディング、さらにはライブDJが出来てしかも物理的な機材に比べて格安のコストなので、短期間でそれが主流になりました。アンドレアス・シュナイダーさんはそのトレンドに逆らって物理的機材専門のお店を開いたのです。
テクノやアンビアントのプロデューサーを始め、効果音や映画のサウンドトラック、果音響系インスタレーションアートの芸術家などもパソコンによる制作をしていたのですが、その多くのプロたちは何か物足りないものを感じていたそうです。
それは機材とのふれあいでした。
彼らはキーボードとマウスを使ってパソコン画面のボタンやノブやスライダーを操作するよりも、自分の手で機材に触れ、自分の指で操作する方がより自然で、創造性をかきたてられることに気づいたのでした。
この時代に活躍しているアーティストたちはソフトウェアをタッチスクリーンで操作することももちろんあるでしょう。
このドキュメンタリーの中である電子音楽アーティストの「僕は実際に手で触れることが出来るものが好きなんだ。そうすることで楽器や機材と自分とのつながりを持てる」という言葉が印象に残りました。
今の時代の写真・カメラもこれによく似ていると思います。